『コレラの時代の愛』と、肉体を持つということ
彼女は浣腸をするときに手伝い、先に起きて、眠っている間はコップに入れてある入れ歯を磨いてやった。(ガルシア・マルケス『コレラの時代の愛』p497)
赤ん坊となってこの世に生まれて来られたイエスはお襁褓もかえて貰い、体も洗って貰っただろうが、『コレラの時代の愛』の主人公フロレンティーノ・アリーサは年老いてからフェルミーナ・ダーサに浣腸の手伝いをして貰ったのだ。
「『コレラの時代の愛』と「あなたは…わたしのために体を備えてくださいました」(ヘブライ人への手紙10:5)」で私は、「『コレラの時代の愛』は、「肉体を持つ」ということを一つの重要なテーマとして描いている」と書いたのだが、ガルシア・マルケスはこういった箇所でもさりげなくそれを表している。
ガルシア・マルケスのように血肉を通って語られるために観念的、抽象的、頭でっかちな言葉とはなり得ない。罪に苦しんだ者の言葉は、同じく罪に苦しんだ者の心を打って入ってくるのだが・・。 https://t.co/HUx4lXys7g
— メロメロピー77 (@syodainekosuke) 2021年1月22日